山の生態系の回復にオオカミは必要なのか?

狼

昨今、シカやイノシシ等の害獣による農作物への被害をメディアでよく目にします。

しかし、私たちが知ることといえば、被害に遭った畑の被害状況くらいでその実情は明らかにされていません。

被害の規模は大きく、農家だけでなく国レベルで取り組みが必要となっています。

このようになった原因は意外かもしれませんが、オオカミの絶滅が関係しているのです。

オオカミの絶滅で森が死んだ

日本には、

・ニホンオオカミ
・エゾオオカミ

の2種類のオオカミが存在していましたが、約100年前の1905年頃に絶滅したと言われています。

確認されている最終捕獲の1892年までは上野動物園で飼われていた記録もあります。そのわずか10数年後に絶滅するとは誰も考えていませんでした。

オオカミが絶滅した理由は、

・人がオオカミの餌(鹿など)を乱獲したこと
・それにより、家畜に被害を出して駆除されたこと
・イヌからの伝染病にかかったこと

などが挙げられています。

狼が人間に被害を与えたり、家畜を襲ったという記録があります。しかしそれと同じく、畑の野菜を食べる鹿や猪などの動物から農作物の被害を抑制する効果もあったと考えられます。

また、魔除けや憑き物落としとしての信仰もあり、武蔵御嶽神社や三峰神社等では狼が祀られています。

この信仰は畑の野菜を食べる鹿や猪などの動物を駆除してくれるところからも来てる様です。

しかし、オオカミが絶滅し、シカやイノシシ等の天敵がいなくなり数が増加しました。

それだけでなく、ダム建設や森林開発で鹿や猪の住む場所も少なくなってきました。

その結果、シカが山の森林を食い散らかし、食料を失ったイノシシやサルなども里山に降りてきて農作物を荒らすようになりました。

このように、オオカミの絶滅が山の生態系に影響を与えたと言えます。

鳥獣による農作物の被害と対策

全国の野生鳥獣による被害金額は年間約160億円と高い水準にあります(出典:全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(平成29年)・農林水産省

また、実施している対策については、

・侵入防止柵等の設置
・ジビエ等への処理加工施設
・ハンターの育成

など様々な対策を行っていますが、効果的な成功事例はありません。

主に地域ぐるみの活動であり、その土地に住む若者が減少しているため将来的には労働力不足も被害対策の足かせとなってくるでしょう。

なお、鳥獣の数が増加している原因にあっては、

・暖冬により住みやすい環境になったこと
・狩猟が免許制となり、山に人が出入りしなくなったことによる天敵不足

なども挙げられます。

オオカミの再導入

鳥獣の増加原因に挙げられた天敵不足の打開策として、今注目を浴びているのが、オオカミの再導入です。

オオカミを再導入するメリットは、オオカミが害獣であるシカやイノシシを捕食してくれることです。

アメリカでは害獣駆除の政策として、オオカミの再導入を実施しています。

その結果、増えすぎたエルク(シカの一種)を14年間で、約16000頭から約7000頭まで減少させ、生態系の回復に成功しています(出典:オオカミ再導入で生態系は? 米イエローストン国立公園の試み 100頭近くで推移

一方で、今後、日本でオオカミの再導入を行うにはオオカミがもっているイメージの払拭が必要と考えられます。

なぜなら、オオカミには童話であるように人を咬み殺す獰猛さや狂犬病のイメージがあり、人や家畜に対し危害を与えるものと認識されているからです。

しかし、実際にオオカミが人に危害を及ぼした事例は、

・狂犬病にかかったオオカミ
・人が飼いならしたオオカミ
・子育て中に餌を失ったオオカミ

と極めて稀なものだけとなっています。

一方、林業で山に入る人や近くで家畜を飼っている人がオオカミに対して危険を感じることも理解しなければなりません。

まとめ

一般社団法人日本オオカミ協会が実施した、オオカミの再導入についてのアンケートでは、

・「賛成」‥45.5%
・「反対」‥11.0%
・「わからない」‥43.3%

と、「賛成」と同じくらい「わからない」の回答があります。(出典:第8回全国オオカミアンケート調査2016報告

生態系の破壊、地域住民の生活など多角的な視点から、1年後ではなく30年後や100年後の日本の森林の未来を考えていかなければならないでしょう。

画像提供:steve felberg

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