オオカミが私たち人間に及ぼした影響

森

オオカミについてどんな印象をお持ちですか?顔つきも鋭く、童話のイメージも相まって怖いという印象でしょうか?

でも実際にはそんなことはなく、彼らはとても臆病で、積極的に人に危害を加えることをしません。

逆に、オオカミが存在していたときは、捕食者の頂点に立ち、自然の生態系を守っていた事実もあるのです。

オオカミはイヌよりも協調性の高い動物

オオカミはネコ目イヌ科イヌ属に属する哺乳動物です。

肉食で、シカ・イノシシ・野生のヤギなどの有蹄類、齧歯類などの小動物を狩り、1頭あたり9キロもの肉を食べます。

普通、群れをなして暮らしていて、群れの規模は生息地の環境と獲物の数で変わり、2頭から最大36頭にも及びます。

性格はかなり臆病で慎重です。人を避けようとします。

今から1万5千年ほど前、狩猟生活を営んでいた人間が、野生のオオカミを飼い馴らし始めたことが、イヌ誕生のきっかけと言われています。

また、協調性スキルを調べるテストで、オオカミの方が、家畜化された(オオカミに近い種の)イヌよりも優れた成績であったこともわかっています。(参考:犬は自己中心的? オオカミのほうが仲間思いとの研究

オオカミが絶滅した4つの原因

オオカミが絶滅した理由は4つに分けられます。

1つ目の理由は、シカやイノシシなどの乱獲で、オオカミの餌が少なくなり、数が減ったこと。

2つ目の理由は、オオカミが餌を求め人里に降り、家畜に被害を出して駆除されたこと。

3つ目の理由は、オオカミの毛皮や骨肉は価値が高かったので、換金目当てに乱獲されたこと。

4つ目の理由は、イヌからの伝染病にかかったこと。

人の私利私欲から、オオカミが絶滅しました。ほとんどの動物は、人の手によって絶滅するという最悪の結果になっています。

童話によるネガティブなイメージ

イソップ、グリム兄弟、シャルル・ペローといった童話作家は、完全なる悪役として、なんでも喰らう飢えたオオカミを登場させています。

代表的な作品として、「赤ずきんちゃん」や「3匹の子豚」が挙げられます。

こうした童話は、オオカミが実際に家畜を捕食したことと関わっているでしょう。

壊された生態系の復元の選択肢のひとつとして、オオカミの再導入という対策があります。

反対意見の中には、このような童話で知った悪役のイメージを持った人もいるでしょう。

捕食者の頂点

オオカミは山における捕食者の頂点であり、シカやイノシシなどの個体数が増えすぎないよう抑える役割を果たしていました。

しかし、現在の日本ではオオカミが絶滅しており、特にシカの個体数が爆発的に増殖しています(参考:統計手法による全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等について・環境省

シカは山の木々(主に下層植生)を食い荒らし、山の成長を止めました。食料不足になった猪や猿も里に降りてきて農作物などに被害をもたらしました。

オオカミが絶滅してからの100年間、捕食者の頂点のいない日本の生態系は年々悪化しているのです。

まとめ

私たち人間の手で絶滅させてしまったオオカミ。悪いイメージがありますが、100年前までの日本の森の生態系を維持してくれていた事を忘れてはいけません。

この記事で少しでも、オオカミに対しての印象が変わってくれたら幸いです。

追記:

当然ですが、オオカミの再導入については、地域住民の理解が必要不可欠です。それに、森の再生は他の方法もあるでしょう。

オオカミの再導入は日本の森を再生させる選択肢のひとつに過ぎません。

参考書籍:捕食者なき世界 ウィリアム ソウルゼンバーグ

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