近年、ジビエ料理がブームになってきています。レストランや居酒屋、家庭でも食べることができ、今後も普及が広がれば、より身近なものとなるでしょう。
ジビエ料理ブームの背景には、害獣の存在が深く関わっています。
日本には、害獣と呼ばれるシカやイノシシが数多く生息していて、生態系や、林業、農作物に被害をもたらしています。
様々な害獣対策を行っており、その一つがジビエ料理の普及です。ジビエの普及がどの程度、害獣駆除や森の再生に影響を与えているのかを解説します。
ジビエとは?
ジビエとは、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉のことを指します。
ジビエには様々な種類があり、日本では、現在48種類の動物をジビエ肉として食べる事ができます。
特に流通量が多いのは「鹿肉」「猪肉」の2つです(参考:狩猟及び有害捕獲等による主な鳥獣の捕獲数)
もしかしたら、ジビエには「硬い」「臭い」などのイメージがあるかもしれません。
それは昔の猟師は解体処理をきちんと行っていなかったためであり、現在のジビエは、血抜きなどの処理をきちんと行っているので、とても美味しくいただくことができます。
また、ジビエは牛や豚よりもタンパク質やビタミン、鉄分が豊富で且つ、脂質が少ないため、健康の面でもとても栄養価の高い食肉です。
ジビエ肉の注意点(しっかり加熱する)
ジビエ料理で人気といえば、焼肉と鍋ではないでしょうか。手軽で、素材の美味しさを十分に味わうことができます。
狩猟が始まる時期は冬場であり、寒い時期に食べる焼肉や鍋は新鮮で格別です。
そのほかにも、ジビエ料理には見た目にも美しいフレンチなどたくさんの調理法があります。
ジビエの魅力は、野性味のある味や噛み応えであり、養殖の食肉と異なる味わいがあります。
しかし、ジビエには寄生虫やウイルスが存在している可能性が高いので、確実に中まで火を通して食中毒にかかるのを防ぎましょう。
ジビエ普及への課題とは(1割程度しか流通してない)
ジビエ料理がブームである一方、ジビエ普及の課題もあります。
ジビエは養殖された食肉と違い食品衛生法の壁が厳しく、市場に出回るためには、食肉処理施設の建設や維持に費用が掛かっているのが現状です。
そのため、ジビエは一般的には高価格になってしまいます。
また、ジビエは野生動物であるため、捕獲数や肉質が安定しないのもデメリットです。
狩猟により山奥で得られた害獣は、食肉に適した処理を行うことが難しいため、その場に放置されたり、埋設されることが多くあります。
現在は狩猟で得られた害獣の1割程度しか食肉利用となっていません(参考:ジビエ振興の障壁は何か?)
まとめ
ジビエ料理ブームによる害獣駆除の効果はまだ大きくないと言えるでしょう。
ただ、現在は廃棄していた害獣のジビエ利用拡大を国が積極的に推進しています。
これにより今後は、害獣のジビエ利用がさらに普及し、害獣に対するイメージをプラスにすることで、ジビエが害獣駆除に効果をもたらす日も近いかもしれません。
(参考)
・ジビエ利用の推進について(農林水産省)