日本に猟師という仕事があることをご存知でしょうか?
報道などで、住宅街に出没したクマを猟友会のメンバーが駆除したというニュースは見たことがあると思います。
猟師の仕事はそれだけではありません。山中に入り、害獣と呼ばれるシカやイノシシなども狩猟している人もいます。
一方で、猟師不足や猟師の高齢化が懸念されており、害獣対策の一つである狩猟の存続が危ぶまれると、今後、害獣増加が拡大する恐れがあります。
猟師の仕事と収入は?
そもそも猟師はどのように収入を得ているのでしょうか。
猟師の収入源の一つは害獣駆除による補助金です。
日本では、害獣であるシカやイノシシによる農作物被害が増大しています。その対策の一つが、狩猟による害獣駆除です。
地域にもよりますが、一頭につき1~3万円前後の補助金を得ることができます。
また、狩猟により捕獲したシカやイノシシを、専門の食肉業者へ卸して収入を得ることもできます。
ジビエブームの影響もあってか、一頭数万円で買い取ってくれる業者もあるそうです。
そのほかは、住宅街に出没したクマなどの駆除・捕獲のために、役所から要請があって出向することもあります。
しかし、猟師という仕事のみで生計を立てることは難しく、本業のかたわら趣味で猟師をしていたり、定年退職後に猟師になる人がほとんどです。
猟師になるには
猟師になるためには、様々な資格が必要となり、試験も多くあります。
必要資格は狩猟免許、狩猟者登録証、猟銃所持許可証であり、警察署や役所に何度も足を運ぶ必要があります。
免許には種類があり、網で狩猟する「網猟免許」、罠で狩猟する「罠猟免許」、散弾銃やライフル銃で狩猟する「第一種銃猟免許」、空気銃で狩猟する「第二種猟銃免許」があるので、自分に必要なものを選ぶことが重要です。
これらの取得には時間が掛かり、試験に合格できなかった場合、次の試験が来年ということもあるので注意が必要です。
必要な資格や装備を準備できたら、猟友会に出向きベテランハンターと一緒にノウハウを学び、経験を積むことをオススメします。
猟師の現状ついて
狩猟免許所持者数は20万人弱であり、近年横ばいではありますが、その分、高齢者の数が増えています(参考:種別狩猟免許所持者数・環境省)
しかし、実際に狩猟を行っている猟師は減少傾向です。
その原因として、猟師不足により捕獲隊の編成ができない、本業との両立や個人で負担する経費が重荷になる、様々な規制が効率的な捕獲の妨げとなっているなど理由は多くあります。
現状、狩猟から消費までの肉が流通する経路が整備されておらず、コストがかかるのが実情であり、産業としてはまだまだ未熟な段階です。
問題は様々ありますが、若い猟師を育成しようとする動きもあります。
「日本鳥獣捕獲協会」では、高い技能を持ったベテランの猟師と連携し、効果的に若い猟師を育成する「狩猟技能向上計画書」を考案するなどの努力が見受けられます。
このように少しづつでも後継者問題を解決することで、猟師不足に歯止めが掛かるかもしれません。
(まとめ)若い世代の育成が課題
猟師に興味がある若者は増えています。
しかし、猟師になるためには、様々な試験を通過し、資格を取得しなければなりません。
また、経済難の時代に、所得が安定しない猟師という仕事はとても敷居が高いものとなっています。
今後、狩猟が衰退しないためには、高い技術を有した猟師から若者に技術を継承していかなければなりません。
害獣駆除には狩猟が必要不可欠です。
今後、若い世代にどれだけ狩猟文化を継承できるかが重要になってくるでしょう。
(参考:ハンターになるには・環境省)