アメリカ・イエローストーン国立公園で実施されたオオカミの再導入

イエローストーン国立公園

今回は、野生動物を巡る「20世紀最大の実験」と言われた、イエローストーン国立公園への狼の再導入について解説します。

結論から言うと「オオカミの再導入」でイエローストーンの生態系は回復しました。

オオカミの再導入後のイエローストーンは、色彩豊かな熱水泉や壮大な大峡谷、いろんな種類の野生動物などを見ることができる人気の観光スポットとなっています。

現在は、自然と野生動物が一体となった美しい景観ではありますが、以前は自然と動物の生態系が壊された場所でした。まさに日本の山や森と同じ状態でした。

イエローストーンの過去

イエローストーンは、アメリカ北西部ロッキー山脈の中程にある1872年に指定された世界初の国立公園です。

オオカミが絶滅してから、イエローストーンではコヨーテ(イヌ科、オオカミより小さい)が捕食者の頂点でした。
コヨーテ

しかし、コヨーテは捕食者の頂点でありながら、体の大きいエルク(シカの仲間)を捕食しなかったため、エルクが大量に繁殖するようになってしまったのです。

エルクはポプラの若葉を食い荒らし木々の成長を止め、コヨーテが小型哺乳類を過度に捕食し食物連鎖に異常をきたした結果、イエローストーンの生態系は壊されてしまいました。

オオカミの再導入事例

オオカミの再導入とは、野生動物を巡る「20世紀最大の実験」と呼ばれています。

実験内容としては、1995年と1996年に生態系の壊れたイエローストーンにおいて、捕食者の頂点となりうるオオカミを計31匹再導入し、その経過を調査するものでした。

すると、オオカミはエルクを捕食し、コヨーテの活動範囲を狭めることとなり、両者の数は年々減少していきました。

その結果、

・コヨーテに脅かされていた鳥類や、ポプラを餌としていたビーバーが増加
・そして、ビーバーが川を整備するようになり、川には魚や両生類が増加
・土壌侵食は抑制され、川が緩やかになり、浅瀬もできた

よって、生物が生息しやすい環境が整い生態系は回復していきました。

オオカミの再導入後の反応

オオカミの再導入で生態系は回復しました。

しかし、2011年の調査ではオオカミが家畜を襲う事件が複数件あり、その損失は牛193頭、羊162頭となっています。

家畜被害のうちオオカミによるものと確認された場合については、政府の「オオカミ補助金」により補償されていますが、依然として住民からの反対意見もあります。

まとめ

オオカミはその後も数を増やし、1973年より指定されていた絶滅危惧種を2012年に解除することにもなりました。

また、2015年時点で広範囲のイエローストーンで528匹確認されており、2016年時点の国立公園内で約100匹確認されています。

アメリカでは、オオカミは復活させるが、負の影響は最小限に収めるという決断をしました。

人間によって復活させたオオカミであるので、これからも人間の手で管理を続けていかなければならないでしょう。

参考・出典:
YELLOWSTONE WOLF PROJECT
オオカミ再導入で生態系は? 米イエローストン国立公園の試み 100頭近くで推移

画像提供:skeezeAdam Derewecki

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